事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

ライフログ、Moleskine、実践と習慣化

2011年は「実践と習慣化」をテーマに、自分の行動習慣を変えていくことを目指している。1カ月に1つ、新しい習慣を身につけていけば、1年で12の習慣ができる。1度にあらゆることに手を出すと頓挫するので、地道に1つずつ実践し、習慣にしていく(参照レビュー:30日で人生を変える「続ける習慣」)。1月から実践と継続を繰り返し、すっかりと習慣化できたものが、「ライフログMoleskineに毎日記録すること」である。


ライフログは「情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」」、Moleskineは「モレスキン 「伝説のノート」活用術~記録・発想・個性を刺激する75の使い方」に影響を受けた。元々書くこと、記録することが好きだ。「習慣化」を1年の目標とするなら、自分が好きなことから始めてみたい。そう思い、Moleskineライフログを記録していくことにした。


使ったノートは「モレスキンルールドノートブック13×9センチ」。2010年12月10日にノートを使い始め、2011年2月12日にノートが完了。2カ月にわたり、合計191ページを日々起こったことやその時考えたことで埋め尽くせた。仕事と仕事の合間、通勤時間といったすきま時間を使い、1日も欠かさず記録し続けたことは自信になる。それと同時に、なぜ毎日の記録を実践できたのかが知りたくなった。


自分の習慣化の要因を振り返り、2月以降の「実践と習慣化」に弾みをつけるのが本稿の目的だ。

ライフログは楽しい

(1)毎日の記録で軌跡を残すことの楽しさ、達成感


2011年は、立てた目標を絶対に達成するという意欲が大きかった。自分の弱点は、下手に完璧を求めるあまり、物事が長続きしないこと。習慣化をするなら、「好きなこと」「継続したいと強く思うこと」を最初に選ぶことが秘訣と考えた。日々の考えやアイデアがノートに散りばめられていくさまは楽しく、ノートという形で手元に残しておけるという点も有益だった。191ページをすべて埋めた際の達成感も大きかった。


(2)記録と振り返りのサイクルを回し、記憶を頭に残す


記録の目的は「振り返りのため」と位置付けている。ライフログは、日を置いて振り返ることで新たな気づきが生まれてくる。最近は数日前のことも詳細に思い出せなくなり、意識をしていないと、日々がいつの間にか過ぎ去ってしまう。


書くことで頭の中にイメージを残し、Moleskineを見返すことで記憶を呼び起こす。このサイクルを繰り返すことで、記憶としても定着しやすくなる。「1週間に1度、その週の出来事を振り返る」という予定を入れておけば、「実践と習慣化」の項目が1つ増える。生活に弾みを持たせ、新たな習慣も付くということで、一石二鳥だ。


(3)考える習慣が付く


ライフログの特徴は、その日のできごとを細切れに書き続けること。その瞬間にどう思ったか、何を考えたかまでを詳細に記録する。


気づきをノートに記録することで、頭の中でもやもやとしていた考えが形になり、その場で振り返りができる。「記録&振り返る」というサイクルを回していると、「考える」という習慣も自ずとできてくる。「こう思ったけど、過去に同じことを考えていなかったかな」「今の自分ならどう解決するかな」など、普段から考えるクセがついてくる。これはライフログを継続することで見えてきた新たな気づきだった。


ライフログの効用は、以上の3点だと感じた。

Moleskineに魅せられてしまった

ライフログの習慣化には、Moleskineも大きく寄与した。Moleskineのノートは1冊1000円以上する。自分としては、ただ記録することが目的なら、絶対購入しない代物である。そこで当初の目標である「実践と習慣化」の達成には何が必要かを考えた。


その答えが実践と継続のモチベーションをモノによって高めることだ。「プロは使うものにもこだわる」というくだんの通例を試してみたのだ(参考リンク:仕事の質を簡単に向上させる方法と、高級なスリッパ作戦)。結果、Moleskineというブランド、製品の作り、利便性は、「肌身離さずノートに記録し続けたい」という気持ちを大いに刺激してくれた。100円ノートでは、ライフログの実践と習慣化は達成できなかったであろう。


では、Moleskineの魅力とは何だったのか。大まかにまとめると以下の通りだ。


(1)「一生残せるノート」という品質

自身の記録がノートという「形状」で手元に残るのは、意外とうれしい。お気に入りの本といっしょに本棚に並べて、ずっと保管できる。溜まったノートを手に取り、すぐに過去の思考にダイブすることが可能だ。Moleskineは、長期間の保管を前提とした作りになっている。特にハードカバーは開閉や圧力にも強く、長期保存に適している。


(2)「毎日肌身離さず持っておきたい」という重厚感


Moleskineは1冊1000円以上するノートだ。「書きこむ」という用途に限定した場合、高値感は否めないが、その価格を払ってもあまりある価値を感じる。毎日持ち運んでもくたびれない表紙、重厚でリッチなデザインは、毎日肌身離さず持ち歩きたいと思わせてくれる。気分を上げてくれるという点では、値段以上の見返りをもらっている。


(3)「世界中にユーザーがいる」というコミュニティー意識


Moleskineには世界各国にユーザーがいる。その人たちのMoleskineへの愛はとてつもない。ノートの使い方1つを見ても、これは芸術かと見紛うものがたくさん。もはや「作品」の域に達しているものも多い。ブログ「モレスキナリー」では、そんなユーザーの作品が日々更新されている。いつかはここに自分のMoleskineを公開したいとさえ感じるようになった。同じアイテムを使って日々創意工夫をしている人が自分以外にもいるという事実は、「実践と習慣化」のエンジンにもなっている。


ライフログを習慣化できたのは(1)好きなものを対象としたから、(2)やり遂げる意思があったから、(3)Moleskineだったから――という3点に集約できる。ライフログMoleskineのタッグは、2011年の目標達成に向けていい意味で背中を押してくれた。