事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

創立百年を迎える日立、あるいはアイ・ビー・エム

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2011年6月28日(火)。日経新聞15面「日立の100年 IBMの100年」というコラムが興味深かったです。日立製作所は花形事業だった半導体メモリーから鉄道などの機械系やインフラ系にビジネスの軸足をシフトし、復活基調に転換しています。IBMメインフレームなどのモノを売る事業から、顧客が求めるあらゆるITサービスを提供するサービス企業に変身し、増収増益を達成。ともに100年企業として、今もなお輝きを放っています。

変化の速度が早過ぎるとも言える今、企業はあらゆる手段を講じて成長曲線を描こうとしています。変化には痛みが伴うものであり、その際には業態やビジネスの主戦場が変わることだってありえます。そうした状況下において求められるのは、過去の栄光にしがみつくのではなく、積極的に変わっていく変化していく姿勢であることは言うまでもありません。

ここで大切なのは、企業理念やビジョンではないかと思います。私の場合は、その企業が存立している意義を果たせるのであれば、売るモノやサービスが変化することは不問だと考えます。逆に売れるからといって、企業理念に即さない事業やサービスを展開すると、これまで保っていた企業体の均衡が崩れ、企業が成立しなくなっていくのではないでしょうか。その点、100年という1世代を生き抜き、成長してきた日立やIBMは変化を受け入れるとともに、変化の半歩先を常に歩んできたことが伝わってきます。

現場で働く身としては、企業の理念やビジョンを真に共感する機会は少ないかもしれませんが、企業で働く以上、その企業に属する人全員が同じ方向を向いてチームで仕事をするというマインドセットは、あってしかるべきだと思うのです。理念やビジョンに共感し、企業全体が志向する世界や社会を作りたいという思いがあるからこそ、そこで働く人は毎日の仕事に意味を見いだしていくことができるのでしょう。

もちろん変化には痛みが伴います。その中で変化に身を委ね、自らも変化する企業のあり方を受け入れ、そこで柔軟性を持って働いていく。そんな働き方をする人たちが、100年続く企業を支えていることは想像に難くありません。