事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

マーケティングコミュニケーション論考

 

新マーケティング・コミュニケーション戦略論

新マーケティング・コミュニケーション戦略論

 

 

私の最初の仕事は、Webメディアでコンテンツを企画・編集・執筆することでした。メディアでは情報・コンテンツこそが価値の源であり、それによって集まった読者と広告主が顧客になってもらいたいユーザーを引き合わせることで、収益が生じる仕組みです。想定読者はアーリーアダプターと呼ばれるITに詳しい人たち。目の肥えたその方々に満足してもらえるようなコンテンツを作ることが命題でした。 

次の仕事は、メディアから離れた立ち位置で情報を提供する役割を担います。独自製品やサービスを既存ユーザー、新規ユーザー、潜在顧客層に伝え、顧客満足の向上やユーザーとのきずな作りをしていくものであり、一般的にはマーケティングコミュニケーションと呼ばれる仕事になります。 

マーケティングコミュニケーションの基本は、伝えるべきサービスや製品に情報という付加価値を上乗せすることだと考えています。どんなにいいサービスや製品を作ったとしても、それが受け手に正しく伝えられなければ、使ってもらうことはおろか、認知してもらうこともままなりません。 

いい製品やサービスを作っても、それだけでは売れないのが現状のあらゆるビジネスが迎えている局面。ユーザーを動かすためには、製品やサービスがどのようにそのユーザーの仕事や生活と密接に結びついていくのかを伝える「物語」の要素をコンテンツに付与していかなくてはいけないのでしょう。機能や性能、価格といったスペックを伝えるだけでは力不足であることは、想像に難くありません。 

伝える手法はWebマーケティング、Webプロモーション、コンテンツ企画、イベント、広告宣伝など多岐にわたりますが、根底を貫く考え方は「誰に何を伝えるか」というとてもシンプルなもの。これをガチっと定義した上で、あらゆる戦略や施策に落としこんでいくところがマーケティングコミュニケーションの腕の見せ所だと思うのですが、シンプルだからこそ、それはとても難しい。成功の法則は存在せず、常に思考を働かせ、新しい手法を考えていくパワフルな仕事なのだろうと想像しています。