事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

美談の裏側と自分軸

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2011年7月25日(月)。

今日も早めに出社したら、社長の出社時間と重なり、軽くごあいさつをすることができました。朝の混雑の時間にも巻き込まれず、新聞もちゃんと目を通せたし。やっぱり早起きはいいですなあ。ずっとフレックスタイムだったので朝遅く夜も遅い生活だったけど、早起きも早めの出社も案外できていまいますね。ほっと一息。

「名のある企業が10年後も安泰とは限らないのです」。元Google日本法人代表 辻野晃一郎氏は本日付けの日本経済新聞のインタビュー「領空侵犯」でこう答えています。「親の薦める会社に入るな」という見出しのこのインタビューでは、米国シリコンバレーの優秀な若者は大学を出ると、起業か創業間もない企業に就職をすることを例に挙げ、日本の学生は大企業を選ぶ際に安定を求めるのではなく、自分が会社を変える意気込みを持って選んでほしいということを述べています。

ちょうど今読んでいるライフネット生命保険 出口治明社長の著書『「思考軸』を作れ』でも、「大企業に入れば安泰だとか、中世を尽くしている限り会社は裏切らないのだとか、上司や先輩が答えを知っているとかいうのは、高度成長期からせいぜいバブルまでの短い期間にだけ通用した「常識」であって、普遍の真理では決してない」という主張がありました。辻野氏、出口氏とも日本の大企業でずっと働いた後、現在はベンチャー企業の代表として日々働いていらっしゃる方々です。そんなお二方の意見は、経験と歴史に裏打ちされたものであり、強い説得力を感じます。

一方で、自分がどんな仕事に向いており、どういった環境で働くことが幸せなのかについては、実際に働いてみないと分からない部分が多いと思います。例えば起業や創業間もない企業では、事業が軌道に乗るまでは土日も関係なく働くことが前提になるでしょう。。仕事への意欲があるだけでは事足りず、その事業やビジネスを通じて世の中を変えるといった崇高な理念を長きにわたって追いかけていく覚悟がないと務まらないのは明らかです。

「大企業はいずれ衰退していくので、これからは世界の新たな秩序を作っていくスタートアップ企業の時代だ」と考えるのは早計です。本当にその働き方が自分にとって幸せであるか、成し遂げたい思いはあるのかといった点に対して、きちんと折り合いをつけておかなければいけません。特に起業を成功に導いた企業や創業者は美談をもって語り継がれることが多いですが、その裏には人の何十倍、何百倍の努力や失敗がきっとあります。生きるか死ぬかの当落線上で毎日生きる人、そこに備わる精神力が並大抵のものではないことは、容易に想像できます。

私自身は過去の経験から、そうした生き方を志向しても幸せになれないことを自覚しています。だからといって希望がないわけではなく、むしろやりがいを感じながら今の仕事に就くことができています。大切なのは自分の軸。自分にとって何が正しくて、何をすれば幸せになれるかが分かっていれば、現状をどう打開して前に進むべきかは自ずと見えてきます。