事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

新しい自分が見たいのだ――仕事する

「新しい自分が見たいのだ――仕事する」

陶芸家 河井寛次郎さんの言葉です。同日の日本経済新聞 夕刊「夕刊文化」に掲載されていた秋本治さんのインタビューで知りました。秋本さんは長寿漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」を35年にわたり執筆し続けている漫画家です。その秋本さんが河井さんのこの言葉を好きとしているそうな。

同記事によると、秋本さんは連載を続ける35年もの間、新鮮味を失うことなくこち亀を描き続けてきました。多彩なキャラクターと時代の変化の少し先を読んだテーマで、常に読者に楽しんでもらえるようにアイデアを形にし続けてきたのでしょう。1つのことを追求し続けるスタイルは職人そのものであり、畏敬の念を抱かざるを得ません。河井さんの言葉は、秋本さんの生き方を象徴しているのでしょう。

「僕も開けていないドアがまだまだある気がする。それを探しながら描いている」

そんな秋本さんが同インタビューで発した結びの言葉がまた素敵。作品に対するあくなき探究心と秋本さんの生き様が透けて見えます。ともにまだ見ぬ未来の自分に無限の可能性を重ね、目の前にある仕事に臨んでいるのでしょう。河井さんの言葉に対する格別のアンサーソングですね。

このスタンスには非常に共鳴するところがあります。「できないことができるようになる」――これが自分のモチベーションの源泉であり、それがチームやサービスを提供するユーザーに貢献するものであれば、言うことはありません。社会のために、世界のために、なんて大きな絵を描かなくてもいい。「地道に、淡々と」自分の成長や変化を求めて生きるのもいいじゃないですか。両氏の言葉は、自分自身のスタンスをぶらさずに生きようという気持ちを強く持たせてくれるものでした。