事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

客観と主観のはざまで

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2011年9月21日(水)。

このブログで「Career」タグを作ったので、自分のキャリアについて考える機会が自ずと増えるでしょう。今日は客観と主観の去来に関するお話。

Webメディアの編集記者としてキャリアをスタートした自分。興味に沿う形で取材や企画が実現できるのは格別でした。編集・記者という職業は好奇心の尽きない人にとっては、本当にチャレンジングで面白い仕事です。一方で、多面的に幅広いテーマを追いかけ続けていく必要があり、事業やサービス1本に関わり続けることができない。

常に客観的な立ち位置から物事を俯瞰しなければならないのが記者であり、編集者なのでしょう。インタビューで聞く話は、インタビュイーの方が経験・実践してきたプロセスの一部。客観的な立場でそれをコンテンツにまとめ、報道することはできても、プロセスを実践・追体験することはできないのです。

今は事業会社で実際のWebサービスを担当し、Webを中心としたマーケティング、プロモーションを全方位から考えられるようになりました。これまで得ることのできなかった実体験を伴う環境に身を置くことで、主観の立場で企業の事業に携わることができています。

転職活動をしていた時によく聞こえてきたのは、コンサルティング企業やベンチャーキャピタルといった客観的な立場で経験を積むと、次のステップとして事業会社を選ぼうとする人が多いということ。逆も然りで、事業会社でビジネスを手掛けてきた人は、そのノウハウをさまざまな環境で活用したいとして、コンサルティングのキャリアが視野に入ってくるのだそう。ビジネスに携わる立ち位置は客観か、主観か。その二項間での揺り戻しは起こり続けるのでしょう。

個人的には、客観という立場に立った仕事をしてきた経験が、主観という立場で仕事をする今に生きています。事業会社に行くまでの道のりは決して平坦ではなかったし、仕事を始めた当時は事業会社に行きたいというプランもありませんでした。為せば成るというか、これまで成し遂げてきた仕事の延長上に新しいキャリアがうっすらと見えるようになってきただけです。でも、今は仕事が楽しい。客観と主観の両方の経験が、後のキャリアにも生きてきそうな予感がしています。