事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

成功体験を捨てることで見えた別の次元

考えながら手を動かすことが、アウトプットを最大化する一番の近道です。知識や情報、過去の経験を収集しながら、それらを大胆に捨てて、ゼロベースで考える。その考えを1つ1つ言葉や図といった形にし、最終的なアウトプットに落とし込んでいく。考える時間はふんだんに取り、悩む時間を減らして手を動かす。これを1日に何度も繰り返すことで、インプットとアウトプットのくせがつき、仕事がうまく回るようになります。

最良のアウトプットを出すためには、これまでの成功体験を捨てることもいといません。例えば取材をコンテンツという形にする仕事。これまでは取材時にパソコンを開き、インタビュイーの言葉をほぼすべてキーボードで打ち込み、後で編集をしてコンテンツの形を作るようにしていました。でも、このやりかたは自分の頭で考える時間があまり多くないことに気づいていました。

そこで、インタビューにパソコンは持ち込まず、紙とノートと頭で重要事項を記憶し、その場でストーリーを作っていく手法を取り入れてみました。今インタビュイーが話している内容は読者にとって伝わるのか、伝わるとしたらほかにどんな言及が必要か、聞き漏れている箇所はないかといったことを考え、ノートに書く。たくさんの話を聞いて、そこから編集で要素を削ぎ落していくのではなく、伝えることをピンポイントにしぼり、そこを深く突き詰めていく取材スタイルに変更してみました。

これが奏功したのか、原稿作成が非常にスムーズに進みました。この章で伝えたいポイントはこれだから、その内容に焦点を当てて、ほかの要素は大胆に切り捨てる。みるみるうちに原稿が完成していくことに驚きを隠せません。これまでは100聞いた情報を10に編集する中で伝えるべきポイントを同時に考えていたので、インタビュー内容を過剰に切り貼りし、時間を浪費していたのでしょう。今回は書くことを決めていたので、それ以外の要素はすべて捨て去ることができました。1を10にしていく過程で、100ある情報から軸となる10の情報を迷うことなく取り出せたという感覚です。結果、普段の半分以下の時間でアウトプットが出せました。

一度成功体験を得てしまうと、どうしてもその枠の中で物事を考えてしまいがちです。ここで「これよりもっといい方法はないか」とゼロベースで考え、時には成功体験を大胆に捨て去り、別のやり方を考えることが、仕事全体の底上げにつながります。過去の自分は、レベルアップするために今すべきことは何かを教えてくれる良き教師たりえます