事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

2011年、自分を大きく変えてくれた書籍

2011年を振り返るまとめブログ。「文房具」「継続と習慣化」「iPhoneアプリ」に続き、今日は本について書くことにしよう。新聞と雑誌を読み始めたこともあり、書籍を読む機会が減ってしまったが、気になった本は惜しみなく買うようにしている。

目次をざっと頭に叩きこんでおいて、必要に応じて本棚から取り出せるようにしておく。知識のために本を読むことは2010年までの所作。2011年は実践・行動にあたり不足していると感じる部分を補足するために、本の力を借りた。そのスタイルがしっくり来ており、2012年も継続していきたい。

では、2011年に印象に残った本を取り上げていく。

30日で人生を変える 「続ける」習慣

2011年のマイベスト本だ。ずっと目標にしてきた「継続と習慣化」の着想は、この書籍で得た。小さな継続によって習慣を作っていくと、人生が豊かになる。無理せずに、ベイビーステップで継続を始めることが、将来大きな力になることを感じさせてくれた書籍だ。自分を大きく変えるのは難しい。変えることを始めることはたやすいが、それを継続して習慣化することはとても難しい。

1日5分の習慣化を30日継続すると、それは習慣となり、できることが1つ増える。これを繰り返すと、1年で12個できなかったことができるようになる。やがて、変えられなかった自分に少し変化が生じていることが理解できるようになる。1年間実践し続けることができたのは、本書のおかげだ。今の自分を少し変えたいと思っている人は、この書籍のやり方を参考にするといい。本当に、自分を変えることができる。

心を整える。

プロサッカー選手の長谷部誠選手が語る自分の律し方。決して奇をてらった手法はなく、いかに自分と対話できる時間を作り、自分と向き合っていくかに従事している姿が見て取れる。そこに書かれている手法は誰でも真似できることがらであり、日常に取り入れやすい。

今は情報過多だ。あふれんばかりの情報を毎日収集していると、自分がものしりであり、あたかも自分が実践したかのようにモノが語れてしまう。だが、それはまぼろしであり、内なる自分から出てきたものではない。長谷部選手は自分との対話を重ねることで、自分なりの考え方や生き方を模索し、実践しているように見えた。一人になって、自分で考えて行動することの大切さを教えてくれる書籍だ。

仕事で忙殺されそうになった時、ワンクッション置いて自分の時間を持ち、考えながら仕事ができるようになった。それは「心を整える」ことを意識できるようになったからではないか。

Webデザイン受発注のセオリー

発注側としてWebディレクションを手掛けるようになった。受注側とのやりとりの中で、コミュニケーションロスが発生して意図したWebデザインが作られないことは、機会損失になる。本著は受発注双方のコミュニケーションを円滑にするための素養がまとめられた書籍だ。受注側、発注側はどう情報を共有しあっても、認識がずれてしまうことがある。それを認めた上で、ズレを極力なくしたデザインを作っていこうとするのが本著の狙いだ。

例えば発注側は社内でWebについて何度も議論を重ね、それを発注する。その際に受注側はWebの戦略や決定の背景を知らない。こうした一見小さな情報をできる限りきちんと共有しておくことで、双方の意図をふまえたデザインができあがってくる。自分は発注側として受注側が考えていることを知りたくて、本著を手に取った。おかげで、Webディレクションを成功に導くことができた。

企業のWeb担当者は必ず目を通しておきたい書籍である。

デザインセンスを身につける

デザインはセンスではなく、戦略に立脚するものであることを学べた。かっこいい、センスがいいという感覚は人によって異なるものである。そういった感覚に惑わされることなく、戦略と達成したい目的を決め、マーケティングの一環としてデザインを作るというアプローチを学べたのが本著だ。「デザインセンスは皆無」とたかをくくっていた自分だったが、デザインの作り方を学ぶことで、センスはデザインとは無関係であることが実感できた。

色使いやレイアウト、キービジュアルやメッセージで、デザインの印象は大きく変わってくる。そこの詳細はプロに任せて、戦略と目的を考えぬくことがWeb担当者の役割だと割り切ることができた。マーケティングの側面からデザインを考えてみたい人は、確実に読んで下さい。

入社1年目の教科書

ビジネスの基礎体力を磨く上では、基礎体力と土台を作ることが一番大切だ。その際の考え方が余すことなく伝えられているのが本著だ。ヤング・グローバル・リーダーとしても名を馳せている岩瀬大輔さんの仕事への取り組み方は基本に忠実。とにかく早くアウトプットを出し、周囲を巻き込んで必要な情報を集め、アウトプットに変えていくスタンスだ。

多くの場合、一人で直前まで考えてアウトプットを出すよりも、期日までに何度もアウトプットを重ね、そのたびに周囲にフィードバックを仰ぎ、質を高めていく方が、結果として良いアウトプットにつながる。会社で働く以上、チームに属した上で働くのだから、それを逆手にとってチームの力を最大限活用していくことが良いとする取り組み方だ。本著で書かれていることに取り組むことで、仕事の仕方は180度変わったといってもよい。誰もが取り入れられる仕事の基礎が書かれている。

振り返ると、仕事のスタンスを構築し、Webという専門分野に磨きを掛けるための模索をしていた1年だったことが分かる。仕事の基礎は継続と反復によって培われるし、専門分野という応用部分は実践を通じて力を付けていける。自力では到底成し遂げられなかったアウトプットを幾つも重ねることができたのは、ところどころでこれらの書籍の力を借りたことが大きい。2012年になっても、基本にたち帰るために何度も読み返したい書籍たちだ。

2012年はどういった書籍に出会えるだろうか。