事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

薄れゆく礼賛視点

Pos

2012年3月5日(月)。

マーケティングの観点でソーシャルメディアを見ると、数ある施策の1つでしかないことに異論を挟む人はいないだろう。「ソーシャルメディアマーケティング」という単語を見るとソーシャルメディアで完結させるマーケティングと考えてしまいがちだが、そんなことはありえない。ソーシャルメディアマーケティングを標榜する裏にある、「その言葉を広めたいとする思惑」を読み取る必要がある。

ソーシャルメディアは種々のマーケティング施策の相乗効果を生み出すものという位置付けがしっくりくる。何かを代替するものではない。「~~の終焉」なんて言葉がWeb上を踊り出したとしても、その事象の裏側を客観的に見る姿勢を保ち続けたい。

ソーシャルメディアが代替する「~~マーケティング」として、メールマーケティングがよく槍玉に上がる。いやいや、そんなことはない。ビジネスパーソンの多くがメールをずっと使い続けているし、消費者の連絡手段もまだまだメールだ。スマートフォンの出荷台数は右肩上がりだが、普通の携帯電話を使っている人もまだまだ周囲にたくさんいる。聞こえの良い言葉に惑わされることなく、リアルな世界を見て判断したい。

自分自身もソーシャルメディアを頻繁に使うが、情報収集の効率を考えると、メールマガジンや決まった日時に配信されるお知らせメールの方が、有益な情報が簡単に手に入る。頻繁に購入する商品のお知らせメールは毎日開いてしまうし、時には商品を購入してしまう。お知らせメールを受け取ることに同意(パーミッション)している状態であれば、そのメールがゴミ箱行きになることはない。

Amazonの精度の高いレコメンドサービスは、能動的には探し出せない有益な書籍情報を日々せっせと運んでくれる。その自動的な真摯さに、ありがたみだって感じてしまうくらいだ。

とまあこんなことをつらつらと考えていると、マーケティングを俯瞰してみて、全体戦略を描き、施策レベルに落としこんで着実に成果を上げられるような人材になりたいという気持ちがふつふつと沸き起こってくるわけだ。マーケティング担当者になりたてのころは新しもの一辺倒だったが、今は少し冷静にマーケティングを俯瞰できるようになったことの証左でもある。