事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

さとなおさんの「明日のコミュニケーション」を読んだ。「RTやシェアは行動」「人は近しい人に共感する」

なぜ、明日のコミュニケーションを読もうと思ったのか?

明日のコミュニケーション 「関与する生活者」に愛される方法 』を読んだ。仕事分野である「コミュニケーション」に対する理解をもっと深め、コミュニケーションの仕事を現状の仕事以外の別の角度から学んでみたいと感じていたからだ。

自分が面白い、役に立つという視点から、「ユーザーや読者の視点で間違いなく役に立つ」という情報を出す。そこ起点でのコミュニケーション戦略の設計方法を習得してみたい。基礎がしっかりとできたうえで、企画やキャンペーンを手がけていきたいと思ったのだ。

面白い、勉強になったと感じたポイントをまとめておく。

第1章:ソーシャルメディアが「行動」を起こさせる媒介になった 

ソーシャルメディアを介することで、多くの人とゆるやかなつながりを形成できる。それはチームとなり、国に対して働きかけるレベルのプロジェクトにすらなり得る。

ブログ隆盛のときはあくまで個人対個人のつながりでしかなかったけど、ソーシャル上だといとも簡単に共感の輪を介して人々が同じ方向に向かえる。こういう情報の伝達の仕方とコミュニケーションの仕方は、ソーシャルメディアが台頭するまではなかったといえる。 

例えば大震災の時、人々は正しいと思われる災害情報をRT・シェアし、人の役に立とうとした。自分もそうだった。困っている人に対して微力ながらも貢献できればという気持ちがあり、それがRTという行動につながった。

思いを形ある行動に変えてくれたのが、Twitterを中心としたソーシャルメディアだったことを思い出した。思うだけじゃない、祈るだけじゃない。行動するという極めて重い一歩を簡単に踏み出させてくれるのがソーシャルメディアだった。

第2章:マスマーケティングが通じにくくなった 

これまでROMってばっかりだった人が、情報の発信者になった。いいね!やRT自体が発信であり、人の意見を同意や共感という形で、自分の周りの人に伝えることなのだ。なるほど、納得。しかもこれだとわざわざブログで書く必要もないし、面倒臭くない。

このような生活者が出てくると、マーケティングにおけるターゲッティングはあまり意味をなさなくなる。M1F1みたいな区切りでざっくりとターゲットを分けるなんてことはできなくなる。

みんな各個人ごとに関心があって、それを中心に世代や性別を超えて情報が広がっていく今だ。通常の広告やマスメディアの情報伝達以外の経路が出てきていることを意識していないとダメ。

第3章:近しい人にいかに共感してもらえるか

ここからは「共感」とブランドの話になる。発信した情報に対して共感の輪が広がっていくには、地道なブランドづくりが必要というお話。

共感される対象は、発信元と出した情報の2つ。前者は長い間かけて、ユーザーに愛してもらえるように働きかけていかないといけない。後者は、面白い! 好き! 感動した! といったように、シェアしたくなるようなコンテンツを企画する必要なさがある。

100人のエバンジェリストを動かせたら、その人たちから一気に100万人に伝わることだって可能になってきた。これまでのマス広告が、大きな声を挙げて目立ったもん勝ちの世界とするなら、これからのソーシャルでは、近しい人にいかに共感してもらうために自分自身を磨くかということにほかならない。

第4章:コミュニケーション戦略は変わる 

広報とか広告は縦割りのコミュニケーション戦略である。あらかじめターゲットが決められていて、その人に対してこういう情報を出せばOKという考え方になるが。そのコミュニケーションの仕方では生活者一人ひとりの共感は得られない。

伝えたい情報をただ出すだけでは伝わらない。読み手や消費者に寄り添い、信頼してもらいながら共感してもらう必要がある。