事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

出口治明『任せ方の教科書』は新米リーダーに限らず必ず10回は読むべき

 

出口治明さんの『部下を持ったら必ず読む「任せ方」の教科書 』が、これからチームを率いるリーダーにとって良書だったので、読書感想文をまとめてみた。

 

言われた仕事に付加価値をつける、作業にしない

高度成長期とは「特別なことをしなくても、年8%の成長が見込める時代」「言われたことをしているだけで、成長できた時代」だったと私は考えています。

逆に今は変化していて、特別なことをして、言われたこと以上に自分の仕事の価値を出していかないと、すぐに化けの皮が剥がれる時代。仕事に対してごまかしは効かなくなったし、言われたことをただただやっているマシーンでは立ち行かなくなるということだ。

いままで5時間かかっていた仕事を、明日も5時間、あさっても5時間、1週間後も5時間、1カ月後も1年後も10年後も5時間かかっていたら、いつまでたっても生産性は上がりません。 生産性を上げるには、5時間を4時間に、4時間を3時間に短縮しなければなりません。そのためには、言われたことをやっているだけではいけません。 「自分の頭で必死に考えなければならない

仕事のことを「作業」という人がたくさんいるけど、「作業」という言葉が大嫌いだ。自分の仕事を作業と言ってしまった段階で、単にこなすだけの仕事という認識を自らが作ってしまい、創意工夫をしなくなるからだ。

 

作業をやめるには、いかに目の前の仕事を考えながら取り組むかに掛かっている。出口さんの言葉にある通り、言われたことをやるだけではなくて、言われたことに対して自分なりの価値を上乗せしてアウトプットにつなげるかが一番大事だと思う。

丸投げはリーダーの労務放棄ととらえよ

・丸投げ……指示があいまい。「何でもいいから、適当にやっておいてくれ」

 

・任せる……指示が明確、権限の範囲が明確。「君にはこういう権限を与えるので、こういう結果を出してほしい

仕事をしていると、コミュニケーションをケチるひとが案外多いことに気づく。阿吽の呼吸で「あれやっといて」「これやっといて」と言っておけば通じるでしょうという考え方は、金輪際捨てた方がいい。結果としてこの態度は丸投げとなり、チームメンバー全員を不幸にする。

 

リーダーとしてチームを率いる立場になった人は「任せる」ことを意識しよう。任せるとは、上記の定義の通り、権限を与えて、その権限内で成果が出せるように指示をすることだ。ここの指示は具体的であればあるほどアウトプットもブレなくなる。コミュニケーションをケチらずに、自分が考えている以上のことを共有するつもりでいるといいだろう。

労務管理とは「部下に権限を与え、具体的かつ的確な指示を出す」こと、上司がすべき〝労務管理〟とは「部下に権限を与えたうえで、的確な指示を出すこと」です

「任せる」とは労務管理のことであり、上司は労務管理が仕事なのだ。そう考えると、あいまいな指示をすることは労務管理放棄ともいえる。リーダーとなり、人に指示を与える人ほど、このことはきちんと理解しておかなければならないはずだ。

 

コミュニケーションはキャッチボール、暴投するな

 

「的確な指示」とは、双方向のコミュニケーションです。「上司から部下」への一方通行ではなく、「上司から部下、部下から上司」の相互通行によって成り立つのです。上司の指示がわからなければ、部下は指示の内容を理解するまで、聞き直す必要があります。

チームのコミュニケーションはキャッチボールだと思っている。ボールの投げ手は、受け手がボールをきちんと受け取れる範囲にボールを投げなければならない。「これからどんなボールを投げるかわからないし、暴投するかもしれないけど、ちゃんと受け取って返してね」ではダメなのだ。

 

上司だけでなく、部下も同じ認識を持っておかなければならない。上司は仕事をたくさん抱えている場合が多く、どんなに気をつけていても指示があいまいになることは避けられない。そんな時は部下から上司を質問攻めにして、アウトプットのイメージを共有しておくことが一番だ。

とくに中間層の社員は、「上司から受けた指示を、さらに部下に伝えるポジション」にいます。課長であれば、部長からの指示を係長に伝えるポジションになります。ということは、上司の指示が腑に落ちていなければ、部下に対して「的確な指示」を出すことができません

これも注意が必要だ。特にミドルマネジャーの人は経営に近い部長のような人と現場に近いチームメンバーの橋渡しをしなければならない。だが、ミドルマネジャーだって部長の指示をすべてきちんと理解しているとは限らない。そこを見据えた情報伝達をしなければならないということだ。