事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

プロか否か――分かつのは再現性

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2011年8月3日(水)。

「この人、仕事ができる」、そう感じる方があまねく備えていると思う資質の1つは「再現性」かなと、最近感じています。過去の仕事の経験則から、未踏の仕事で答えを出すための能力とも言い換えられるかもしれません。

仕事ができる人は、とにかくアウトプットまでのスピードが早く、アウトプットの質が極めて高い。スピードとアウトプットのレベル感は比例関係を保っています。これはおそらく、手掛けてきた仕事を振り返り、考え、小さなレベルで業務改善を繰り返し、自分なりの課題解決のフレームワークに落としこんでいるのではないかと推察しています。

これは仮説ですが、できる人は複数の仕事に対して、極めて早いPDCAを回しながら取り組んでいるのではないかなと。仕事をタスクレベルにまで細分化(Work Breakdown Structure)し、1つ1つの手順に対して、考えながら最適解を探しているイメージです。つまり、新しい仕事に対してもすべきことを分解し、過去の経験則から適用できるものを探し出し、手法を考えているのだと思います。

この再現性は、「1を10にする」仕事において、特に効力を発揮するのでしょう。今村岳司氏のブログ『1→2は自分でできる。そして自信がある。でも、0→1は自分でできない。』において、「どれだけ速く合理的に効率的に少ない手数で進めるか。抵抗に屈することなく確実に進めるか。一度進んだことに関してその構造を確認して論理的スキームとして残せるか。私はそういうところにこだわってきた。」という記述があり、「再現性」という言葉をもってそのメカニズムが説明されています。新しい職場で仕事をする自分も、今はこの再現性を身につけようと、1つ1つの仕事に対して考え、答えを出すことを意識しています。

問題は「0を1にする」仕事。これは一筋縄ではいきません。「1を10にする」仕事に比べてはるかに難易度が高くなることは、あらゆる人が思うところでしょう。しかし、上述の今村氏でさえ、「0を1にする」仕事に対しては「難しいものである」という認識を持っていらっしゃることが伺えます。

今村氏はまぎれもなくプロフェッショナルであり、いつになっても私のロールモデルであり続ける存在です。うがった見方かもしれませんが、そんなプロの方でさえも「0を1にする」ことを難しいと思っていらっしゃる事実から、私自身は「1を10にする」こと、すなわち再現性をまずは完璧に身につけようと考えるようになりました。今はそれでいいのだと自分自身納得しています

過去のブログ「圧倒的なインプットが思考をもたらす 73」でも書いた通り、「0を1にする」には、圧倒的なインプットとそれをアウトプットとして出すための思考の整理が生きてきます。そしてそれらは、「1を10にする」仕事をし続け、再現性を習得していく中で、自然と備わってくるものなのでしょう。

改めて、自分の仕事に対するスタンスが明確になりました。小さなPDCAを速い速度で回し続け、各仕事の再現性を培っていくこと。そう考えると、日々の仕事1つ1つはとてもエキサイティングで、深みのあるものだということが身に染みます。