事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

ウェブマーケティングの立ち位置の違いを実感した日

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2011年11月11日(金)。

Webマーケティング担当者が集まる勉強会に、積極的に足を運ぶようにしている。社内だけに閉じていると、仕事を客観的に評価、判断できなくなるからだ。WebマーケティングやWebサイト担当という職種1つをとっても、業種やビジネスモデルが異なれば、専門とする分野も全然違ったものになる。今日の勉強会ではそれを痛感した。

自分以外の参加者は、おおよそ一般の消費者を対象とし、集客から売り上げを増加させる施策を担っていた。万単位の商材があり、それらの売り上げを最大化していくことがミッションだ。対象となる消費者は、既に「○○を買いたい」「○○がしたい」といったニーズを思い浮かべながら、Webを検索している。当然、その消費者に情報を届ける手法はSEOリスティング広告になる。Webマーケティングと聞いて想像しやすいのは、こういった種類のマーケティング手法になるだろう。

一方の自分は、プロダクトマーケティングを担当している。商材はWebサービス1つ(iPhoneアプリを入れると2つ)である。対象とする消費者は、「グループコミュニケーション」や「コラボレーション」「プロジェクト」に携わる人すべて。無料で提供しているサービスだが競合が多く、メールという情報共有ツールを代替するものとして、まずはサービスをまったく知らないユーザーに知ってもらう機会を作らないといけない。

手法としては、リスティング広告SEOよりも、サービスに関連するコンテンツを作る。サービスを使うことで得られる価値をコンテンツ経由でイメージしてもらうことで、登録と継続的な活用を促すことを優先している。リスティング広告にも注力し始めたが、主に活用しているのは検索連動型広告ではなくディスプレイネットワーク広告だ。ニーズが顕在化していないユーザーを相手に、利便性や価値を感じてもらうようにするためには、潜在ニーズを顕在化する必要がある。それにはバナー広告を自動的にさまざまなメディアに露出することの方が、コンバージョンにつながると考えているからだ。

一口にWebマーケティングといっても、対象が変われば手法が変わる。正解や成功の方程式はなく、仮説と検証を繰り返しながら施策を最適化して、成果の精度を上げていくというアプローチを採ることが、最善策なのだろう。この前提の違いを理解できた点を見ても、勉強会に参加した意味は十分にあった。

Webサービスのプロダクトマーケティングでは、『小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則』でおなじみの37Signalsがモデルケースになると思っている。今自分が所属しているチームは、開発とマーケティング担当が少人数でプロダクトを開発し、それを人々に広めている。そのスピード感は圧倒的に早く、考えた上での即座の行動と検証が求められることは言うまでもない。特にWebの世界では、小さなチームで、スピード感を持って変化に対応していくビジネスの型が一般的になりつつある。

一般的な「Webマーケティング」とは異なる立ち位置で、今の仕事を極めていきたい。37Signalsの話はまた別の機会に掘り下げることにしよう。