事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

アクセス解析は数字ではなく、利用者のことを考えるためのもの――『0からのウェブディレクション講座・運用編』で得た気付き

今仕事でWebサイトを作っていて、ワイヤーフレームを書いたり、デザインコンセプトを作ったり、コンテンツのディレクトリマップを整理したりといったことを経験している。

もともとWebの仕事(コンテンツ企画)をずっとやってきたけど、本格的な「Webディレクション」に着手するのは今回が初めて。Webでさまざまな情報を集めたり、会社で隣に座っているWebマスターに分からないところを聞いたりしながら、見よう見まねでディレクションを進めてはいるものの、「本当にこのやり方が正しいWebディレクションなのか?」という自問自答する毎日だった。

そんな時に知ったのが「0からのWebディレクション講座・運用編」というストリートアカデミーの講座。日本ディレクション協会という任意団体が開いている講座で、「我が意を得たり」という内容だったので、参加してみた。講座内容の中心は「Web解析」「アクセス解析」。Web「制作後」の運用の話が主だった。ツールの使い方が主なトピックかと思いきや、もっと大切な話がたくさん込められていたのだった。

解析をやればやるほど、数字に目が行き、利用者のことを忘れがちになる? 

Googleアナリティクスなど解析ツールの使い方がメインかなーと思って参加してみたところ、とても良い意味で肩透かしを食らった。セミナーから得たものは「数字やデータじゃなくて、そのサイトを使う利用者のことをもっと見ようよ、考えようよ」というメッセージだったからだ。

自分は事業会社でマーケティングコミュニケーションの仕事をしている。常にサービスやサイトを使ってもらう利用者のことを考え、その人達がどういう表現なら「What to Say」を伝えられるか、それを考え続ける毎日である。Web解析やアクセス解析といったテクニカルな分野は、ややもすると数値やKPIの話に拘泥しがちになるが、それは「木を見て森を見ず」な発想であり、全体最適には行き当たらない。

事業会社がWebサイトを作るのは、ビジネスの目的を達成したいから。そして、そのためにはWebサイトを使ってくれる人のことを常に想像し続ける必要がある。そこにWeb解析を役立てるという視点は、なぜかWeb解析にハマればハマるほど数字のみに目がいき、結果として忘れがちになる。「そうなってはいけないよ」という力強いメッセージを感じ取れた。

仲間とチームを組むと、出るわ出るわ改善案の山

チームを作って実際のWebサイトの解析結果をもとに、改善案を考えるワークショップもあった。数人でチームを組み、データを見ながら改善案を考える。自分はあえてGoogleアナリティクスにはアクセスせず、いち利用者の気持ちになってサイトを使い、「使いにくい」「わかりにくい」と感じる点を定性的に見つけることに挑戦してみた。いつもなら迷わずデータを見に行くのだが、敢えてそうしなかった。

幸いなことに、チーム内にはデータの詳細を見てくれる方がいらっしゃったので、自分は大いに利用者の気持ちでサイトを使うことができた。そして改善案を考える。「このメッセージは伝わらない?」「このエントリフォームだと入力が手間で途中で諦めちゃうかも……」。いち利用者としての使い勝手に対する感想の1つ1つが、サイトを改善する道標になる。 

「数字にとらわれず、利用者視点でサイトを考えてみようよ。そして仮設が立ったら、データを見て裏付けをしようよ」。講師の@cafekentaさんがおっしゃっていたことを、時間を使って実践できたのが収穫だった。

また、チームを組んでサイトを指摘しあうと、さまざまな改善案が出るわ出るわ。一人では考えもつかなかったような視点が、本当に絶えることなく出てきたのだった。ここで理解したのは「一人で解析をするのではなく、チームでやると、よりたくさんの改善案が出る」という事実。「仲間とやる重要性」という@cafekentaさんのメッセージを、ここでも体感したのだった。

アクセス解析とマーケティングコミュニケーションの密接な関係

 自分の仕事であるマーケティングコミュニケーションは、「誰に」「何を」伝えるかを考えること、そして利用者の「本音(インサイト)」を想像しながら、「どうすれば」このメッセージが届くのかを設計することである。それをWeb解析・アクセス解析の視点からとらえ直すことができたというのは、とても良いきっかけになった。 

ツールや数字に振り回されるのではなく、ビジネスの目的から種々の施策の仮設を立て、施策レベルの検証をし、PDCAをぐるぐる回し続けていく――Web解析に携わる方なら一度は体験したことがあるだろうこの一連の動作。それをわずか数時間で体験できるセミナーは、事業会社のWeb担当者にとってはとても有益になるんじゃないかな。

0からのウェブディレクション講座

セミナーの感想は「ツールに振り回されないWeb解析を(ゼロディレ講演レポ)」(Webディレクターズマニュアル)や「0からのWebディレクション講座:運用編へ行ってきました」(Webデザインのタネ)でもまとまっております。講師の方や参加された方の感想をブログで振り返りながら、セミナー内容の復習ができるいい時代になったものですな。

あと、このセミナーは「設計編」「制作・開発編」「運用編」と3部作になっている。別の日の「設計編」にも参加してみたので、その感想はこちらからどうぞ。

fzm.hatenablog.com

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Webデザイン受発注のセオリー デザインコントロールが身につく本

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