事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

受発注の垣根をなくすこと――WebSig『2012年に向けたWeb受託企業の戦略』

[caption id="attachment_3203" align="aligncenter" width="640"]photo credit: Brian Lane Winfield Moore via photopin cc photo credit: Brian Lane Winfield Moore via photopin cc[/caption]

第28回WebSig会議 「2012年に向けたWeb受託企業の戦略」に参加してきた。目的は、Webサイトやランディングページ、バナーの発注側として、受託側のビジネスモデルや経営状況、ビジネスの考え方を理解すること。発注側としての経験はまだ数カ月なので、実践以外での経験値を積むために、さまざまな角度から中の人の意見を聞くことは有益だと判断した。イベントの詳細はTogetterにまとまっているので、このブログではイベント全体の感想を書く。

Web受託企業の多くは、Webサイト作成から運用を含めたサービスを手掛ける企業へと変貌している。作成したサイトを納品して終わりというモデルは通用しなくなり、Webのコミュニケーションから施策までの全体戦略を発注側と考え、実行していくパートナーモデルを目指しているように感じた。モバイルサイト専業、Webサイト専業といった区分けでは収益化が難しくなるにつれて、全体戦略を描ける企業とそうでない企業には差が出るのだろう。

ビジネスモデルの転換が迫られているのは、Web制作会社だけではない。エンタープライズ分野のリセラーも、販売代理業だけでは差別化ができなくなっているという。単にサービスを担ぐだけでなく、新しい価値を上乗せした上でソリューションを売ることが求められる。私自身もソフトウェアメーカーに籍を置いているので、単なるソフトウェア売りだけではすぐに限界が来ることは肌で実感している。ここ2、3年で、Webの世界に属する企業の多くが、新たなビジネスモデルを開拓していることの裏付けとなるプレゼンテーションを多く聞くことができた。

Webマーケティングに関する話も聞けたのは大きな収穫だった。Web化(デジタルマーケティングへの傾倒)に関しては、既に実践を重ねるなどデジタル化へシフトしている企業と、Webに注力していないレガシーな企業との差がくっきりと出ているという。コカ・コーラなどはメディア化する企業としてWebに対する注力度が大きく、Webを戦略としてとらえている。これができない企業はビジネスで勝つことができないということが伝わってきた。

アトリビューションの話題も上がっていた。ビュースルーがきちんと測定できるようになれば、バナー広告をブランディングに活用できる。検索連動型広告に加え、コンテンツターゲティング広告はWebマーケティングにとって外せない手法になりそうだ。そしてバナー広告でブランディングする場合は、バナーをコンテンツとして定義しなおす必要がある。バナーに接触したユーザーに自社やサービスの印象を強く残すためには、クリックの誘発だけを狙うのでは力不足だ。発注側として、デザインにマーケティングのエッセンスをいれこんでいかなえればならない。

個人スキルの観点で言うと、作業者になってはいけないということを強く感じた。コーディングやデザインなど、1つの分野だけに特化して作業をしていても、市場価値は上がらない。ビジネス視点でWebを見直し、日々の仕事に落としこんでいかなければならない。Webに携わる人は、ゼネラリストとしての視点を持ちながら、技術やマーケティング、デザインという特定分野を深堀りしていかなければならない。これは自分が日頃から意識しているキャリアプランの方向性と合致していた。

感じたことを列挙しただけだが、非常に示唆に富んだイベントだったというのが率直な感想だ。受発注側という観点で考えると、お互いが境目を作るのではなく、Webの全体戦略を実行し合えるパートナー企業としてビジネスを前進させていく姿勢が不可欠になる

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