事業会社マーケターの散歩道

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事業会社側、発注側のディレクションスキルも底上げを――「0からのウェブディレクション講座:設計編」に参加してみた

ストリートアカデミーが主催する『0からのウェブディレクション講座:設計編』に参加した。自分は事業会社側でWebを作るWeb担当者という位置づけだが、Webディレクションを体系的に学んだことはなく、独学で、ほかの人のやり方を見よう見まねで習得しながら、ディレクションをやった。「そのやり方が正しいのか」という確信がないままに。

この講座では、Webディレクションの「設計」の部分を特に重点的に学ぶことができた。その学びと自分のWebディレクションのやり方を振り返りながら、感じたことを残しておく。ポイントは記事タイトルの通り、「事業会社側のWeb担当者のディレクションスキルの底上げが必要じゃないかな」という点に尽きる。

Webディレクションの根幹をなす「情報設計」に力を入れていますか?

Webディレクションの仕事を進めるにあたり、自分が最初のころにやっていたのは、頭の中にWebサイトのイメージを描き、それを見える形で落としこむこと。いわゆる「ワイヤーフレーム」を作るという点だ。

だが、いきなりワイヤーフレームを作り始めると、後々大きなロスにつながることが多い。イメージはあくまでも自分の頭の中で考えたものでしかなく、Webプロジェクトを一緒に進める関係者の共通理解が得られていない状態だからだ。その状態でワイヤーを作ってみても、関係者ごとにチェックする視点が異なるため、結果的にワイヤーフレームを作り直すことになってしまう。

実はこの講座では、ワイヤーフレームの書き方などを学ぶのかな、と思って足を運んだのだが、その期待はいい意味で見事に覆された。講師の方がおっしゃっていたのは「情報設計」の大切さであり、セミナーとワークショップを通じて、ひたすら「情報設計」を学ぶプロセスを繰り返した。

「情報設計」とは、長期的な視点でWebサイトの目的を定めたり、ターゲットを明確にしたりするための設計だ。コンセプトワークやマーケティングプランとも言い換えられる。ここが抜けたままWebサイトを作り出すと、関係者内でとにかく「ブレ」が生じてしまい、三方よしのWebサイトができあがらない。「ここはこうした方がいいんじゃないの?」「この情報も入れた方がいいんじゃないの?」といった意見がチーム内から出るのは、「情報設計」の部分で関係者同士の合意がとれていないからだ。

この情報設計は、事業会社のマーケティング担当者は一番力を入れていかなければならないところ。Webによって何を達成したいのか、そのために「誰に」「何を」伝えるか、その手段としてWebをどう設計するかを考え、スクリプト化することが肝要である。 

「情報設計」を考えるためのフレームワークを知っておいて損はない

では、具体的に何を考えていけばいいか。セミナーで示されていたのは、ざっと以下のことである。

  • 3C(自社、競合、カスタマー)
  • Seeds/Needs(シーズ/ニーズ)
  • Positioning(ポジショニング)
  • SWOT
  • Competitors Comparisons(競合比較)
  • Benefit/Merit(ベネフィット/メリット)
  • KPI/KGI/Conversion(指標)
  • サイトスローガン

これって、マーケティングの考え方そのものである。誰に何を伝えたいか、そのためにどんな成果を出したいか。それを確固たるものにするために、競合との差別化を図るにはどうすればいいか。最終的に、どのような戦略の方向性を定めるか。Webディレクションにおいても、当たり前のようにマーケティングのノウハウを考えていかないといけないのだという新しい気付きがあった。

ちなみに自分が担当したWebディレクションでは、SWOT分析やポジショニングに対する考えをもっと深めていく必要があった。この反省点を踏まえて、次回以降Webディレクションに携わる機会があれば、きちんと考えて言語化しておきたい。

「仕様設計」のフレームワークも知っておこう

 次は「仕様設計」のフレームワーク。Webディレクションにおける目に見えるタスク部分とも言い換えられる。自分が初めてWebディレクションをやったころは、何をどこまで考えればいいかが分からず、つぎはぎだらけな仕様設計をしていたことを思い出す。最低限やっておくべき「仕様設計」は以下の通り。

特に忘れがちなのがメタディスクリプションの設定。Webサイトはリスティング広告などの有料施策でユーザーにサイトに来てもらうという施策をとらないかぎり、ソーシャルや検索結果のタイトルやスニペットを通じて、そのページが自分にとって価値のあるものかどうかを判断する。いわばメタディスクリプションの部分は、ユーザーの目に最初に触れる部分であり、そのページをクリックするかどうかを決める大切な部分。

ワイヤーフレームサイトマップなど、目に見えて作業がしやすい箇所と同様に、メタディスクリプションをきちっと整備しておくことが、自分にとっての今後の課題になりそうだ。

Web担当者の底上げが、もっと必要なのでは

Webディレクションはただ単にスケジュールを調整したり、仕様を設計したりするだけの仕事ではない。「情報設計」を通じてWebサイト全体をプロデュースするマーケティング担当者の仕事でもある。このことに改めて気づけたのが一番の収穫だった。そして、「情報設計」はWeb制作会社だけの仕事ではない。事業会社・発注側の立場の人こそ、力を入れてやっていくべき分野である。

以前、とあるWebマスターの方に聞いた話で「発注側が情報設計をまったくやらないまま、制作の相談が来ることもある」とおっしゃっていた。この話と今回のセミナーの内容を合わせると、発注側のWeb担当者はもっと情報設計のことを考え、Webディレクターと同じくらいのスキルを持ってWebを作っていかないといけない。それが結局はユーザーのためになるWebを作ることにつながっていく。自分はWeb担当者としてのキャリアを積み始めたばかりだけど、まだまだできることはたくさんあると感じた。

ちなみに、このセミナーを主催しているのは「日本ディレクション協会」という団体である。「Webディレクターズマニュアル」や「Webデザインのタネ」など、自分がWebディレクションの仕事をするにあたって参考にしていたブログを執筆されている方が、運営に携わっている。講座の後にはMeetupの時間もあって、いろんな立場でディレクションに携わる方とお話ができる。自分は過去2回講座に参加したのだけど、どちらも実りのある時間だった。 

参加者の多くは主にWeb制作会社のディレクターやデザイナー、エンジニアという印象がある。こういう場所に、企業のWeb担当者がもっと来てくれるようになればいいな。

セミナーのスライドはこちら。

 

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同セミナーの「運用編」にも参加したので、その感想はこちらからどうぞ。

 

fzm.hatenablog.com

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同セミナーの講師を務める高瀬さんのWebサイト「ウェブを活用したマーケティング戦略の企画・設計事務所「DCHS」」も役立ちます。

 

現場のプロが教えるWebディレクションの最新常識 知らないと困るWebデザインの新ルール2

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Webディレクション標準ガイド プロジェクト始動からサイトの設計・構築まで

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