事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

ライフネット生命保険 出口治明社長から伝わる深謀遠慮

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2011年5月22日(日)。麹町では日中韓3首脳会談の関係か、多数の警察官が検問のために出動していました。

ライフネット生命保険株式会社の代表取締役社長である出口治明氏の講演に行ってきました。講演テーマは「中国4000年史」。その名の通り、出口社長の解釈と知見を基に、中国に関する4000年の歴史を年表から振り返っていくというもの。講演に行った目的は2つ。1点目は出口社長にお会いしてみたい、2点目は教養を深めたいというものでした。

1点目については大いに満足できました。出口社長のプレゼンテーションはゆっくりとした語り口調でよどみなく進みます。プレゼンテーションの資料は中国史の年号と出来事が書かれているのみ。文字や記録として残された「歴史」に対して、淡々とご解説されていく様を見て、膨大な情報をインプットし、それを分かりやすく噛み砕いた形でアウトプットする博識さとスキルに魅了されました。

2点目に関しては、消化不良となってしまいました。というのも、私自身が中国史に対してほぼゼロ知識の状態で講演に臨んでしまい、講演内容を完璧に理解することができなかったからです。最近新聞では「グローバル化」「中国を中心としたアジア展開」といった言葉が、紙面上を踊っています。それに対して少なからず興味を持つようになったので、そういった事実を解釈するための手助けとなる情報や材料が手に入ればいいなという考えでしたが、中国の歴史はより壮大で大いなるもの。やはり最低限の知識を習得した上で講演を受けるべきでした……。

全編を通じての感想ですが、圧倒的なインプットとアウトプットを繰り返すことで得た教養は、人が生きていくあらゆる場面で生かせるーー。そのことに気付けた点が有益でした。興味のある情報だけを収集し、専門性を深めていくことに加え、視界をより大きく広げ、専門外の分野にも興味を持って接していくことで、より多層的な考えやアウトプットができるのだなと痛感しました。

出口社長の著書『思考軸をつくれ』では、歴史に学ぶ「タテ思考」と他国に学ぶ「ヨコ思考」という概念が紹介されているそうです。私は今回の講演を聞いて、体系立ったこの概念を生み出すに至るまでの、出口社長の深謀遠慮さを想起してしまいました。それと当時に、世の中を構成するさまざまな事象に当事者意識を持って接し、深みのある人間として成長していくことの大切さが伝わってくるものでした。そんな生き方をしたいなという思いが、今、胸の奥をかけめぐっています。