事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

Web担当者としてのキャリアとスキルの軌跡 -後編-

ウェブ担当者としてのこれまで、そしてこれから -前編-」では書ききれなかった2011年仕事の振り返りの後編を書く。テーマは「ユーザーサポート」と「プレゼンテーション」だ。Web担当者としてWebマーケティングを実施することが仕事の軸だと考えているが、仕事がWebだけで完結するわけはない。むしろユーザーにぐぐっと迫りより、サービスを伝えていくことも大事だ。ユーザーと直接接する仕事を通じてビジネスを理解し、Webマーケティングにも生かしていけるからだ。

ユーザーサポート

ユーザーからの問い合わせメールへの回答やソーシャルメディアを介したアクティブサポートも仕事の1つだ。困っているユーザーに、課題解決策以上の提案をすることを狙いとし、メッセージや返信を送っている。1日1時間程度はこの仕事に時間を当てており、ユーザーが何に困っているか、どんな点を評価しており、どこが物足りないと感じているかがだんだん見えてくるようになる。所属するチームには営業担当者がいない、だからこそ、Web上に集まる声からユーザーを想像し、満足度を高めていく仕事はとても重要なのである。

意識しているのは、回答の速さ。ユーザーサポートで1日以上待たされると一気に不満が蓄積することを感じた人は少なくないだろう。自分もその一人だ。ユーザーは解決策が欲しい以上に、「問い合わせや声がきちんと相手に届いているかを知りたい」のだと思う。すぐに回答ができない場合はその旨を伝えるメッセージを即座に送る。サポート業務は、ユーザーに対する配慮や思いやりを最速で届け続けることの意義を感じ取れる業務だ。スピード感を殺さないように、相手に返信をする姿勢を継続したい。

また、ユーザーの壁になっているポイントが分かるようになり、WebサービスやWebサイトを使う側としての注意が働くようになった。ほかのサイトやサービスを使うときに、始めて使うユーザーの気持ちになって活用できるようになった。ずっと使ってもらい続けるサービスにするためには、少しのデザインやユーザービリティ、UXが肝になる。ほかのサービスからそれを学び、ユーザーに届けることが必要だ。通り一辺倒の回答ではなく、Zappposのコールセンターのようにユーザーに「Wow!」を感じてもらうサポートにつなげたい。

プレゼンテーション

完璧に未体験だったのがプレゼンテーションである。もともと人前で話をするのは足が重いタイプだったが、やってみるとそれはそれで面白い。聴講してくれる人に内容を伝えるために何を考え、どんな資料にし、どのポイントを話すかを自然と考えるようになった。自分で考えなければならない仕事は難易度が高いが、その分成長できる。自分の仕事のスキルに厚みが増したのは、プレゼンテーションの経験を積めたことが大きい。

EXPOでは人がいない状態でプレゼンが始まることもあった。通路からはみ出すくらい人が集まってくれたこともあった。年末には400人の聴講者を目の前に迎えたトークセッションも経験した。事前の準備をきちんとした上で、本番では会場の空気を感じながら臨機応変に話す内容を変えていくこともあった。プレゼンテーションのツールやフォントを変え、違う印象を伝える工夫もした。数人レベルから400人レベルまで、さまざまな舞台を経験できたことは、後々の経験にきっと大きくつながる。2012年はもっとプレゼンテーションの経験を積みたいと思っている。

プレゼンテーションに近い仕事としては、Ustreamにも出演した。サービスのアップデート後に新機能を紹介したり、直近のニュースを伝える番組だ。番組の構成を考え、Ustreamという動画コンテンツを届けることが狙いだ。こちらは普段チームで話しているのと同じようにできた。

前編、後編を通じて今の仕事の核となる経験を振り返った。Web担当者として生きていく覚悟を持ち、その能力を高めるために一心不乱に走り抜けてきた。途中で事例取材やプレゼンテーションを通じて、対面によって人を動かす手法も考え続けた。私の仕事は「ソーシャル」「マーケティング」「コミュニケーション」に立脚しており、リアルの場もWebの場も主戦場だ。自分の役職を定義するなら「マーケティングディレクター」なのかもしれない。それは自分が目指したいキャリアの方向性と合致している。

もっと成長できる、もっと仕事は面白くなる。常にこう意識しながら仕事ができている自分は幸せだ。2012年は成果で応える1年にすることをここに誓う。