オウンドメディアではダメ、「自社をメディア化する」と考える
おかげさまで「オウンドメディア(自社メディア)」に関するセミナーに登壇させていただく機会が増えた1年でした。サイボウズ式という自社メディアの立ち上げと運用に約3年間携わり、長期間続けることで一定の成果が生まれてきたことの証左かと思います。
ただ、そこで感じるのは「オウンドメディア」という単語がひとり歩きしているきらいがあるということ。単純に「オウンドメディア」という分かりやすいようで分かりにくい言葉に原因があるのでは、と思います。
オウンドメディアという言葉から浮かびやすいイメージ
オウンドメディアと聞くと「自社でメディアを構築して、情報を発信していく」といった取り組みが想起されやすいと思います。ただ、これははっきりいってその気になれば誰でもできること。CMSを使って企画したコンテンツをこしらえ、公開してしまえば、オウンドメディアのできあがりです。でも、そうやってインスタントに作ったメディアは、注目を集めることもなく、いつの間にか衰退の一途をたどってしまうのでしょう。
オウンドメディアというと、とかくメディアを作って、コンテンツを配信し、生活者との接点を作ること、だとイメージしがちです。それも1つの手段として間違いではないのですが、それだけだとオウンドメディアが成功する確率はなかなかに高まりません。
自社をメディア化するという考え方や姿勢を問うてみる
オウンドメディアと言うのではなく、「自社をメディア化する」という気概を持つ。これがオウンドメディアを成功に導く1つのヒントになると考えています。
すなわち、自分たちがメディアとなる覚悟を持って、手段としてオウンドメディアを運営していくということです。
メディアになるということは、生活者や読者の方にとって有益な情報を提供するだけでは不十分です。それこそ、自社にとってマイナスな情報であっても、読者にとって価値があるものだとすれば、それを報じていく必要があるわけです。なぜなら、メディアは読者の方を向いて、真摯に情報を公開していく必要があるからです。
社内の人におもねってはいけない、商品の売り込みをしてはいけない、時には自社の批判だってしなければならない。公明正大に、覚悟を持って、その会社自らが「メディア化」することの本当の意味を考え、企業姿勢そのものを変えていかないと成功しない。
それが自社をメディア化することの意味だと考えています。
事業会社が社内に編集部を作ることの意味
自社をメディア化する上で一番大切なのは、「編集権の独立の担保です」。編集権がきちんと担保されていて、誰に何を言われようとも、「企業をメディア化する」という姿勢を貫くという信念に基づいて、メディアを運営していく必要がある。
社内外からさまざまな声が出てきたとしても、企業の考え方や姿勢と自分たちがやっていることを常に照らし合わせながら、メディアを運営し続けていく覚悟が求められます。
それを明示するためには事業会社の中に「編集部」を作るというスタンスが良さそうです。
企業をメディア化すること、企業をパブリッシュすること
企業のメディア化は特段あたらしいことでもなく、どの企業もその重要性を認識しているはずです。このブログをこしらえながら、昔と変わらないことを言っているなぁと感じざるを得ません。
企業がメディアを持つことは手段であり、本当の目的は企業をメディア化すること、企業の資産を編集して、パブリッシュすること。その意味を考えながら、実践し続けていきたいなと思います。
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