事業会社マーケターのさんぽ道

事業会社のマーケッターがメディアやブランディングについて寄り道散歩。

マーケターは「すべての仕事はクリエイティブディレクション」と定義付けることが重要かも

『すべての仕事はクリエイティブディレクションである』がマーケター向けの本として、とても参考になる。良いと思った点を引用と感想を中心にまとめてみる。

課題→アイデア→実行のプロセスを生産し続けられるか?

クリエイティブディレクションはすごく汎用性があり、ほぼ全ての仕事に応用可能であることが証明される予定である。何をする仕事なのか。「課題→アイデア→エグゼキューション」。この方程式のすべてを考え、決定し、実行するのがクリエイティブディレクションという仕事である。

マーケッターは課題解決と常に向き合い続けなければならない。特定の課題に対して、それを解決するアイデアを練り上げ、実行に移す。この3つのプロセスことが、マーケターの仕事といっても過言ではない。この仕事がクリエイティブディレクションであるという定義付けがあることで、この本の要旨がはっきりとわかる。

定義なきクリエイティブディレクションは、成功しない

クリエイティブディレクションは定義する事が最初に要求される行為である。定義するのだ、どんなささいなことでも。 23

「定義をする」ことの大切さも説かれている。これまたマーケターにはあるあるだが、仕事に関するあらゆる言葉を定義していかないと、関係者やチーム間で認識がブレてしまい、的確な課題解決ができなくなってしまう。

定義なき仕事に成功なしといえるくらい、定義することが大事だと思うし、この行為なしにマーケターの仕事の成功はないとさえも言えるだろう。

「そもそも何だっけ?」はマーケターの共通言語にすべき

すぐれたクリエイティブディレクターがよく口にする共通のセリフ群がある。「そもそもこれって どういうことなんだっけ」「この問題って そもそも問題なんだっけ」「そもそも一番大事なことってなんだっけ」「1個だけやるとしたら そもそも何をやればいいんだっけ」。さかのぼるのがクリエイティブディレクターの最初の仕事である

この言及はあるあるすぎた。マーケティング・コミュニケーションのあらゆる段階で「そもそもこれってなんのためにやっているんだっけ?」という会話をチーム内でやることが多い。自分も、特にプロジェクトマネジメントをする際は、進行を管理するのと同じくらい、そもそものコンセプトに立ち戻ることを重要視する。

これも「定義」とほぼおなじで、コンセプトからずれた施策になると、それがどれだけ素晴らしいものであっても、成功に導くことが困難になることが、これまでの経験から分かっているからだ。いつも心に「そもそも」を。と標語化したくなるくらい、「そもそも」に立ち戻り、考え続けることの有用性は計り知れないのだ。

イデアとは対象物をより良い状態にすること

イデアとは 対象物をより良い状態に変化させる考え。判断基準で一番重要なのは、この力があるかどうか。もちろん設定されたゴールから逆算して判断する。

マーケティング・コミュニケーションの施策レベルになると、「良いアイデア」を生み出すことにやっきになる。ただ、アイデアという言葉に対してもチーム内でブレがあるようでは、いいものは生まれてこない。

ここでも「定義すること」が重要になっていて、アイデアの定義は「対象物をより良い状態に変化させる考え」としている。これもとてもしっくり来る言葉。チーム内でアイデアの定義を浸透させる際には、このフレーズをしっかりと伝えていきたいと思った。

著者の電通のような広告代理店では、クリエイティブディレクションにかかわる言葉の1つ1つが明確に定義されているのだろうと推察できる。言葉にしっかりとこだわりを持って、認識違いをなくすことが、クリエイティブディレクションを成功に導く大きなポイントといえそうだ。

広告だけではなく、社会課題の解決にもクリエイティブディレクションは有効である。

クリエイティブディレクション とは、世界中のすべての課題をあらゆる手段を貸して解決する技術とプロセスということになるだろう。課題→アイデア→エグゼキューション 突き詰めれば、この方程式がクリエイティブディレクションの要諦である。

この書籍の論旨として、クリエイティブディレクションを広告という単一の分野だけで使うのではなく、世の中のすべての課題を解決できる技術、と位置付けている。もはや、単一の広告だけで企業のコミュニケーション課題を解決するなんてできるわけはないし、広告以外の全てのコミュニケーション戦略において、クリエイティブディレクションの考え方を取り入れていく必要がある。

仕事にかかわらず「課題」あるところにクリエイティブディレクションあり、と考えてみるのも良さそうだ。

クリエイティブディレクションと同じくらい、事業会社マーケターに大切な「選ぶ力」

もうひとつのプレゼン―選ぶ側の論理

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