Web担当者が直面する受発注の溝、「禁断の外注コントロール術」で埋められるか?
『Web担当者が知っておきたい 禁断の外注コントロール術』がKindleでパブリッシングされておりました。作者の深田武晴さんとは、有志が集って開催されている「Web担当者勉強会」でお会いし、そのたびにお世話になっていたのでした。かつてはWeb担当者として仕事をしていた自分にとって、改めて気付きが多かった一冊です。
Web担当者が知っておきたい 禁断の外注コントロール術 (impress Digital Books)
- 作者: 深田武晴
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2015/03/26
- メディア: Kindle版
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受発注側のビジネスゴールは異なるという当たり前の認識
がいきなり書かれていて、頭をガツーンとやられたという感じ。
私はこの本の分類で言うところの「発注側」の人間です。当然、Webサイト制作を発注する目的は「Webサイトを作ることをスタートとした、ビジネスの継続的な成功」にあるわけですが、一方の「外注側」にとってのビジネスのゴールは「Webサイトを作って収益を上げること」。ここに溝があるという指摘です。
Webサイト制作がビジネスの始まりの発注側、ビジネスのゴールの受注側──。もちろん、この溝の深さを認識していたつもりではありました。が、このように文章で指摘されると、「確かに意識の違いはあるな」と思わざるを得ません。
発注側としては外注する会社にはベストパートナーであってほしいし、エース級の人をアサインしてほしいと思う。
外注側に対しては、自分たちよりもWebサイト制作という分野においてはプロフェッショナルであるので、発注側をいい感じで引っ張っていってほしい、という思いも少なからずあります。ですが、それは発注側のみの視点でしかないということなんですよね。
受発注側という区分を捨て、ゴールへの相互理解が進むことが理想
お互いがハッピーになるためには、双方がビジネスゴールに対して理解をし合うという姿勢が不可欠だと改めて気づいたわけです。
発注側としては、ビジネスのゴールをきちんと定め、伝えるべきキーメッセージやターゲットをきちんと定義し、効果測定の面も含めてきちんとRFPに落としこんでおく。これは最低限やるべきこと。
加えて、社内を巻き込み、共通のゴールをきちんと認識できるよう、シンプルな言葉で要件を定義する。制作の最後の最後に「ちゃぶ台返し」が起こらないよう、目的や目指すべき方向性について、合意形成を行う。
こういった基本を発注側はきちんと実施した上で、外注のビジネスゴールを自覚しながら、時には外注のパートナーを先導していかないといけないということです。
「外注側に任せっきりでOK」という思い込みを捨てる
要するに「発注側が外注側に任せっきりで何もしなければ、ビジネスゴールを達成できる制作物は出てこない」という当たり前のことに気付かされたわけです。「Web制作の専門家に依頼をすれば、いいものはできる」という思い込みをゼロベースで考え、よりよい発注につなげられることが理想だと感じました。
最近はWeb担当者というロールを離れていたので忘れがちになりますが、「受発注」自体はWeb担当者に限らず、マーケティングやブランディングに携わる人であれば、避けては通れない業務です。私も初心を忘れず、いいアウトプットが出せるように意識を研ぎ澄ませておこうと感じたのでした。
Web連載でも読める『禁断の外注コントロール術』
Kindleで一気に読むもよし、Web担当者Forumの記事で概要をつかむもよし、です。
Web担当者としてかつて考えたこと